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第81話  

森岡翔と斉藤晨たちは、富麗金沙の支配人に案内されて、最上階の豪華な個室へと向かった。

江城最大のエンターテイメント施設である富麗金沙には、客が遊べる場所だけでなく、静かに商談ができる場所も用意されていた。

「さあ、森岡さん、紹介しよう。こちらは江城SCCのメンバーたちだ。これは妹の斉藤瀟、吉田空、そして…」

斉藤晨は、森岡翔に一人ずつ江城SCCのメンバーを紹介していく。森岡翔は、限界まで高めた精神力により、一度聞いただけですべての顔と名前を覚えた。

ここにいる12名は、江城SCCの全員ではない。残りの3人は、江城を離れているため、来ることができなかったのだ。

森岡翔は、メンバーたちをざっと見渡した。

斉藤瀟は、まるで不良少女のような格好をしている。年齢は17、8歳くらいだろう。

吉田空は森岡翔と同じくらいの年齢だが、厚化粧をしている。

名家の子供たちは、学校に行っていないのだろうか?

こんな格好で、どこの学校が受け入れてくれるというのだ?

実は、その学校も斉藤家が経営していることを、森岡翔はまだ知らない。誰が彼らを叱ることができるというのだ?

「ところで、森岡さんは今、江城で何をされているんですか?以前、お見かけしたことがないのですが」斉藤晨が尋ねた。

斉藤晨の質問を聞いて、その場にいた全員が、森岡翔の答えに耳を傾けた。

なにしろ、SCCの上級会員になれるのは、一握りの人間だけなのだ。

2000億円を払って上級会員になるなんて、誰も想像していなかった。

そんな前例は、SCCの歴史上一度もなかった。200億円を払って、中級会員になった者が2、3人いるだけだった。

ここにいる者たちの中で、2000億円の現金を用意できる者は、そう多くはないだろう。

2000億円あれば、他にいくらでも使い道がある。

投資したり、土地を買ってビルを建てたりすれば、もっと儲かるだろう。

上級会員になって、一体何の得があるんだ?

金があり余っている者でもない限り、そんなバカな真似はしない。

もし森岡翔が、最近になって急に江城に来たのだとすれば、上級会員の彼には、きっと大きな後ろ盾があるのだろう。

そうだとしたら、江城全体の勢力図が塗り替えられるかもしれない。彼らは、森岡翔の言葉を聞き逃すまいと、真剣に耳を傾けた。

江城というパイは決まっている。そこに
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